ぐんぐん吸収

汗が首筋を伝って流れる、蒸し暑い練習場は過酷な環境でしたが、カルミナ9番の練習が始まり、男声の5度の和音を合わせるべく耳を開き始めると、すーっと空気が集中したものに変わりました。洋の東西を問わず心地よい響きの5度を共振させる。声を出している男声も、それを聞いている女声も、そこに気持ちが集まります。1番では時計のように刻まれているリズムを正確に感じること、2番ではひげを蓄えた偉そうな歌手のような深い声を演じ、3番ではもう少し清楚な僧侶にキャラクターを変える。鮮やかなピアノのリードにも助けられ、テーマのはっきりした練習の展開に、ぐんぐんひきこまれていきます。後半はミサソレ。気持ちや歌い方にちょっと切り替えが必要です。飛び幅のある Christe のモチーフをそれぞれのパートが畳み掛けていく展開では、無機質な〝応答せよ応答せよ”になっているという鋭い指摘に、一同爆笑ののちに即納得。ピアニシモでの繰り返しがちゃんと語感を使って表情のあるものに、祈りになっているようにというマエストロの言葉が、説得力を持ってしみこんできました。暑さも吹き飛ばす、というわけではありませんが、練習後の充実感がみんなの顔をさわやかにさせているように思いました。暑かったけど、楽しかった。

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