およそ2カ月ぶりに登場したマエストロに、団員から熱く長い拍手が送られました。それに応えてマエストロは得意の一曲を披露、というわけにはいきませんでしたが、待ち遠しかった練習が再開しました。
まだ体力的には本調子でないご様子ながら、音楽への情熱は少しも変わることなく、練習の空気がどんどん熱を帯びていくのが感じられました。曲はラインベルガーのスタバト・マーテル3番。心に沁みる名曲。家で練習していると涙が出そうになります。でもこういう美しい曲はやはり一筋縄ではいきません。音を追っているだけではなく自分から表現すること、長いフレーズをキープすること、ていねいに着地すること、和声感を整えること、求められることになかなか追いついていけず、涙ぐんでいる暇などありません。もっと体に入れて朗々と歌えるようになりたいと思いました。
ドイツレクイエムは今期、全員暗譜を目標としています。一昔前は、宗教曲の暗譜なんてあまり考えたこともないというのが一般的だったと思いますが、今の湘フィルはちょっと違います。エリヤをミューザのP席で歌った経験で、指揮を見て歌うことの大切さが実感できました。音と言葉を覚えるだけでなく、何を歌うのかがわかっていて指揮を見て歌えると、練習もぐっと楽しくなります。みんながその気になっているのがそこここで感じられて、これから本番に向けての練習がとても楽しみです。
また感染が拡大しているのが気がかりですが、いろいろな練習方法を工夫して、今年をよい一年にしたいですね。
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