オペラティックコラール

7月15日(土) バッハ マタイ受難曲 3・9・10・15・66b・67・68番 神奈川公会堂

 3番のコラールを練習する時、大人数の湘フィルは、人間が生きていく状態にアプローチしていくような「いい意味で」オペラティックなマタイを目指す、という話があった。今までにもマタイはオペラだと何度も言われていたが、民衆の興奮の歌はともかく、コラールがオペラチックというのがすごい。コラールは、イエスの受難に対して後の時代の人が冷静に受け止めて反省している感じがしていた。客観的で冷静沈着なコラールと、主観的で情熱的なアリア、というイメージがあった。けれどもコラールこそ人間の生き方をオペラティックに歌うものだったのだ。コラールを人間ドラマとして歌えたら、どんなに生き生きと躍動的になるだろう。3・10・15というこの後も重要な場面で繰り返される3つのメロディのコラールを歌い、オペラ的コラールが少し想像できる気がした。確かにコラールってキャラクターがはっきりしている、そのキャラクターを際立たせるための楽譜への書き込みなのだと思った。
 66bは、最初の4小節攻め続ける、フーガに入ると「dreien Tagen」がキーワードでパンパンパンと上がっていく、「stehlen」のスラーは遊んじゃって、などの注文にもう体力がなくてヘロヘロ。力を振り絞って遊んでいた。
 今日も八分音符時間で動く、音が伸びているパートは細かく動くパートを意識、内声のリズムのかみ合わせ、など全体を意識する歌い方の注意が満載だった。全体を意識して歌うことも、オペラ的なコラールも、スラーで遊んじゃうことも技術、体力ともに余裕がなければできないことだ。うだる暑さの中オペラへの道は厳しい!3DM

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