2025年3月15日(土)創立40年記念第31回定期演奏会 ハイドン オラトリオ四季 ミューザ川崎シンフォニーホール
歌い切った!楽しかった!2番ではKommの単純で美しい和音が何度も会場に響き、明るく和やかなハイドンの世界が幕を開けた。女声コーラスの透明感のある温かい声が春の訪れを寿いだ。一方男声コーラスは、寒の戻りに注意、どころではなく、寒波が来るぞー。逃げろーっ!みたいな迫力だった。けれどもこれは序の口で、嵐、狩、酒宴とどんどんボルテージが上がっていき、秋の最後で最高潮。溜めに溜めたjuch!が会場を揺るがし、指揮の手も弦楽器の弓も高々と上がり、放物線を描いた。
6乗りのリズム。パンパカパンパンと景気良く繰り返す打楽器やトランペット。一糸乱れぬ4台のホルンの音。それらに合わせて子音を揃え、音程を揃え、テンポを揃え、歌いに歌った春夏秋冬だった。懸案のフーガの出だしもぴたりと揃った。
先生は全身全霊で指揮をしながら、目をカッと見開いて、歌詞に合わせて噛みつくように口を動かしてくれた。もう本当にすごかった。全身からエネルギーがほとばしり、私たちの声を2倍も3倍も引き出してくださった。
ピアニストの先生は、その場面場面に合わせてちりりんと鈴が鳴るような音を出したり、華やかな下降音階を奏でたりして、ご自身と同じくらい美しく魅力的な演奏を聴かせてくれた。今回初めてチェンバロとフォルテピアノの音色の違いを意識して聴いた。フォルテピアノの音は何というか、ガラスをたたいているような響きが混じっている感じがした。
この楽しい、ちょっとふざけた曲を作るために、ハイドンは膨大な音符を使い、たくさんの言葉を使い、体力を消耗させていったのだ。何と真面目な人なのだろう。そして私たちも楽しい曲を楽しめるようになるためにはとても長い時間がかかった。インテンポを叩き込まれ、子音やカワハギでドイツ語らしさを叩き込まれた。それでもなかなかうまくいかなかった。
だから今後の課題はたくさんある。でも今日だけは心から演奏会の成功を祝おう。Juchhe!3DM
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