息を流す

2025年7月5日(土)ヴェルディ 聖歌四篇 アヴェマリア・スターバトマーテル 神奈川公会堂

 もう7月だが鶯がよく鳴いている。ホーと細く入ってだんだん膨らませていき、ホケキョに持っていく。上手だなあ、美しい声だなあ、とうっとり聞いていたが、鶯は鶯で苦労しているのかもしれない。ホーにもっと息を入れて動かして、とか言われているかもしれない。ホーが伸びすぎてホケキョが遅れるんだよ、とか注意されているかもしれない。
 我らがダイヤモンドメンバーも、今日は母音の中で息が流れる、とか入り口は細く息を入れて加速、長い音符は息が止まらないように、などと音を出した後息を入れて動かしていく歌い方をさんざん練習した。鶯より上手かも、と自己陶酔していると、すかさずインテンポの注意。時間の中でいかにカンタービレで歌うか、という言葉が身に沁みた。
 とにかく一つの音をも揺るがせにしない緊張感のある充実した練習だった。言葉のイントネーションに向かって何か起こす、という表現や、動かしていくという表現など、音楽というのは一音も一瞬も停滞していないのだ、と思った。動かしていく、という表現はちょっと面白い使い方だが、合唱を共有している私たちには納得のいく表現だと思う。会場は後ろの方までぎっしり埋まり、特に男声はテノールもベースも列が長く伸び、よく鳴っていた。次の合同練習も楽しみだ。3DM

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