マエストロも服部先生もご不在のときに指導をお願いする、白井先生の初登場初レッスンでした。見るからに真面目そうな若き指導者に、やや緊張気味に発声を始めた私たちでしたが、”みなさん、笑ってみましょう”のひとことでふっと力が抜け、明るい予感が舞い降りました。続いての練習も、ツボをおさえた的確な指摘、よどみない流れにだんだんと引き込まれていきます。9番も11番も33番も、いつもよりゆっくりめに感じられるテンポでしたが、いつのまにか手綱をとられ、4頭立ての馬車はしっかりと御されているのでした。
・飲食店の店員の「いらっしゃいませ!」は、初めから明るくないとウソっぽい、・下降する音形や伸ばしている音は、笑いなおすと音程が下がらない、・言葉のイントネーションを大事に、カンマには意味がある、・フレーズの終わりは止めてしまわず、弦楽器のヴィブラートのように余韻を残す 等々、言われていることは同じでも、アプローチが違うとまた新鮮に感じられ、またこの落ち着いたバリトンの美声が知的で説得力あるのですよね。何かつかまれた感じ、でした。これからがとても楽しみです。
この日はピアニストもピンチヒッターでしたが、初対面とは思えないような本当に心得た練習運びで、ありがたかったです。何回か繰り返していたら心得なくてはならないこと、たっくさんありますよね。そういうものが私たちにも蓄積されていたいです。
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