こころ新たに

新年最初の練習は日曜日の午前中。朝日のあたる玉縄のホールが新鮮でした。ブラームスのドイツ・レクイエムという名曲を歌える喜びは、私にとっては格別です。実は今回で5回目の演奏で、しかもすべてマエストロの指揮なのですが、毎回変わらない感動と、毎回新鮮なアプローチや発見があり、何回でも味わいたくなります。
神秘的な響きの第一楽章に始まり、第二楽章では重い棺の行進から永遠の喜びへ、この世の未練たっぷりに始まる第三楽章は壮大なフーガへと向かい、第四楽章の天国の安息へたどり着きます。第五楽章で感じられるのは母親への思い、第六楽章は死と生が屹立するスケールの大きな力強いフーガ、そして最後にすべてが浄化されるような第七楽章。レクイエムといえどもドラマチックな魅力満載です。などということはどなたでもご存知のことだと思いますが、今回の新鮮な発見といえば、言葉のイントネーションに沿った歌い方を全編徹底するという視点。自分の言葉ではないので、自然なイントネーションというのは難しいのですが、ひとつひとつの音がどこに向かっていくのかということや、長母音や短母音といった細かい出し入れなども忠実にすると、とてもスケールの大きなものが見えてくるような気がするのです。練習の現段階では、まだ少し残念なことに、各自が不安な音を残したまま練習に来ないようにというようなことを言われてしまうのですが、早く自信を持って歌えるようにして、みんなで同じ方向へエネルギーを使えるようにしたいですね。合唱をしていてうれしいのは、まわりの人とやろうとしていることが同じと感じられるとき。天才ブラームスならではの絶妙の和音進行や、フーガの掛け合いのスリリングな楽しさを、みんなでたっぷりと味わいたいです。ひとり一人のほんの少しのこころがけが、合唱にとってはとても大きなエネルギーになるのは本当に本当です。練習はうそをつかないというのも本当で、ほんの少し鍵盤を叩いたことが自信につながるし、歌いこんだ分だけ確実に体に入ります。マエストロの振るこのドイツ・レクイエムは、この機会しかないのですから、せっかく提示された美しいものをつかみ損ねるのはもったいないし悔しいことです。いい音楽したいなぁ。あとほんの一歩踏み出せば必ず変わるところまで、みんなが持っているものはあると思います。150人のやる気スイッチ、一斉にオン!にしたい。

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