なぜ顔を上げて歌うのか、なぜ覚えることが大事なのか。毎回のマエストロの力説は、楽譜を離すことが目的ではないのですね。顔を上げて指揮を見れば楽譜だけに頼るよりももっと豊かな情報が得られ、もっと安心して歌うことができる。歌い出しのアインザッツが揃うことはもちろんですが、次はどんなふうに歌うのか、歌ってほしいのか、どかんと大きなフォルテが来るのか、ゆっくり静かな流れなのか、軽快に弾んでいくのか、悲しい表情なのか、そういうものが歌う前を見ればわかる。たくさんあるマエストロの仕事の中で、歌う前が一番大切で、しかも魅力的な部分かもしれないと思います。そこでみんなの気持ちがひとつになる。
覚えなきゃということに、もしかしたら不安や負担を感じている方がいるかもしれないけれど、大事なのは楽譜の見方のタイミングなので、本当に覚えなくてはいけないことは多分もう体に入っていると思います。“ほかの時は何をしていても、僕と目が合うときだけこっちを見ていてくれれば、いいひとだなぁ~って思う”とマエストロはおっしゃっていました。チャーミングなパフォーマンスやコミカルな表情なども大サービスなので、やっぱり歌う前をちゃんと見ることはお得です!
先日パートリーダー会で推奨した、楽譜を前に出すという持ち方も、実は昨年の県立音楽堂還暦記念演奏会のリハーサル時に某合唱連盟顧問がお勧めしていたことです。楽譜かじりつきの方があまりに多いので、「みなさん、今のままの姿勢で腕を少しだけ前に伸ばしてみてください。楽譜の先に指揮者の姿が見えるでしょう?それだけで俄然やる気があるように見えます。ぜひやってみてください。」やる気があるように見えるのって、まぁ形からということかもしれませんが、形や見た目って案外大事であなどれないのですね。すっくと背筋を伸ばして、楽譜をすっと前にもつ自分の姿、イメージするととてもかっこいいと思いませんか?それが150人ぞろっと揃ってごらんなさい。その効果たるや絶大なものがあります。次からはぜひ、あなたも私も。
メンデルスゾーン詩篇、1番と7番以外は大変なことになっていました・・・インフルエンザ流行中で風邪ひきさんも多く、花粉さんも出始めていて大変な状況ですが、体をいたわりつつこちらの復習も忘れずに。
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