「The Ground」は、音の数も動きも少ない、穏やかでシンプルな歌だけれど、何かとても温かなものが伝わってくるいい歌ですね。シンプルだけれど歌い手にとってとても大切なことがたくさん含まれていることを、マエストロは分かりやすく解き明かしてくれます。
たとえばフレーズのつくり方。言葉がどこで区切れていて、どこへ向かっていきどうおさまっているのか、それがわかると、伸び縮みや重心の置き方や声の広がり、出だしの神経の使い方が変わってくる。あるいは和音の色を聞くこと。どこのパートがどこで動いて和音を変えているかを聞き取る。それだけでアンサンブルする気持ちが違う。歌がぐっと説得力を持ってくる。楽器にもカンタービレという指示があるけれど、音楽の始まりは歌で、言葉をよりわかりやすく伝えるためにあった。楽器も歌うように演奏するものだったが、楽器は楽器で演奏の言語ができるようになり、優れた演奏が増えてきた。弦楽器などは弓のアップダウンで見えるところで合わせることができるが、合唱は見えない部分で合わせなくてはならないので、より難しいことをやっている。
楽譜に書いてあることをひとつずつ読み解いていくことはなんて素敵なことだろうと、たぶんみんながそう思ったに違いない。
それにしても、う~んおいしい!!のイメージだけで、下がり気味の音程も一気に解決なんて、わかりやすすぎ。
次もちゃんとできるようにするのが、なぜかなかなか難しくてね。見えないところで合わせるために、合唱はたくさん練習しなくてはいけないのだけれど、うまくいったときの喜びもまた大きいので、みんなでこつこつがんばりましょう。
コメント