回り道

練習再開から2か月が過ぎた。まだ2か月なのにずいぶん長い道のりのように感じる。最初は鎌倉芸術館のリハーサル室、団員を4分割しての練習がスタートだった。1回の練習は2グループの交代、換気しながら細切れの練習、マエストロは同じ練習を4回繰り返す。役員は扇風機やサーキュレーター消毒セットを抱えて、自分の練習がない日も通い詰めた。練習よりも、換気消毒ディスタンスで頭がいっぱい。8月からは2分割。神奈川公会堂は500人のホールだが合唱利用は68名。一気に全員というわけにはいかない。問診票をチェックしながら一人ずつ並んでの入場にも最近は慣れてきたが、座席指定や人数調整、問診票のまとめなど毎回の準備も欠かせない。練習場が遠くなっても、皆暑い中せっせと足を運ぶ。地道に無理をせずガイドラインを守って進んできた。9月からはようやく全員で練習できる機会も増えてくる予定。                                      もどかしく遅々とした歩みのようだが、練習は着実に進んでいる。離れている分、合わせるためには指揮を見なければならず、歌っていく先を覚えてイメージができたり、楽譜と指揮の見方のコツをつかんだり、といったことが鍛えられてきた気がする。まっすぐに進めないのでしかたなく回り道をしたのだが、いつもとは違う景色が見えてきて、これも悪くないという気がする。実際、ホール客席の一番後ろで歌うなどという練習なんて、なかなかできるものではない。まだまだ元通りというわけにはいかないし、感染者が一人でも出たらすべてが逆戻りで気を抜けないが、またもう少し違った眺めが見えてくるかもしれない。引き続き緊張感を持ちつつ、希望を持って歌い続けたい。

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