違う景色

湘フィルで「マタイ受難曲」を演奏したのは1996年6月。今回はそれ以来の再演となる。何かとてつもなく偉大な曲というだけで何も知らなかった私は、夢中でいろいろ調べたり勉強したりして、一生懸命アプローチした思い出がある。大好きな曲はたくさんあるけれど、歌えば歌うほど計り知れないものが湧いてくるような気がしていたっけ。「聖トーマス教会合唱団」の演奏を聴いたときは打ちのめされて号泣し、演奏が終わってもしばらく席を立てなかった。あれから実に26年。「マタイ」でどんな景色が見えるのか、楽しみだけれど怖いような・・・不思議な感覚にとらわれている。
ヴェルディのオペラのようなレクイエムからバッハへ、あっという間に違う合唱団になった雰囲気。コラールを中心に練習が進んでいて、4日の練習は第1部の終曲、29番を歌った。主旋律は大きな流れなのだけれど、16分音符の刻みがとてもリズミカルで小気味よい。けれど乗り遅れる。これがなかなか修正できないらしい。バッハの頭の中ではすべての音がきっちり同時進行しているわけで、ヴェルディとは全く違う神経が必要なのだろうと思う。句読点を区切りながら、少しでも歌いやすいようにと噛み砕いてくださったマエストロだが、2時間でエネルギーを使い果たしてしまった様子。私たちの4倍働いているのだから大変だ。しっかりついていって、違う景色を見てみたい。

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